○ 内定取消が認められる具体例としては、
などが考えられます。
○ もっとも、内定から就労開始までのほんの数ヶ月で予見不可能なほどに経営が悪化することは通常考えられず、企業側の経営悪化を理由とする内定取消は、よほどのトラブルや経済事情の変化がないと難しいといえます。
いいえ。
○ 入社前研修に参加しなかったことを理由として、会社は内定の取消をすることは出来ません。
○ 宣伝会議事件(東京地平成17年1月28日判決)は、大学院生が入社前の研修に研究を理由に参加しなかったところ、研修が遅れているとして、試用期間を延長するか、中途採用試験の再受験かの選択を求められ、いずれも拒否したことから内定を取消されたという事案です。
裁判所は、まず、入社前の研修について、あくまで当該研修は、内定者の任意によって実施されるものであると判断しました。
その上で、使用者は、内定者の生活の本拠が、学生生活等労働関係以外の場所に存している以上、これを尊重し、研修等によって学業等を阻害してはならないとし、研修等に同意しなかった内定者に対して不利益な取り扱いをしてはならず、また、研修に参加することに同意した内定者についても、学業への支障といった合理的な理由により、参加を取りやめる旨申し出たときは、これを免除すべき信義則上の義務を使用者が負っているとし、研修の不参加を内定取消しの理由とすることはできないとしました。
○ 現役学生の生活本拠はあくまでも学業であり、使用者はこれを尊重した上で学業等を阻害しないように配慮するのは当然のことであり、裁判所の結論は妥当といえるでしょう。
はい。
○ 中途採用における内定取消が違法として慰謝料を認めた裁判例としては、オプトエレクトロニクス事件があります(東京地判平成16年6月23日)。
○ オプトエレクトロニクス事件では、採用内定をいったん留保し、調査、再面接後、再度、本件採用内定をした経緯に照らすと、本件採用内定取消しが適法になるためには、原告の能力等に問題があることについて、採用内定後新たな事実が見つかったこと等の事由が存在する必要があるとされ、本件採用内定取消には客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できる事由を認めるに足りる証拠が存在しないとし、採用内定取消は無効であり、基本給の支払義務を認めるとともに、現実の業務に従事した従業員に業務追行したことの対価として支払われると会社が主張する業務手当(本件原告は現実の業務には従事していない)を含めた給与約208万円及び慰謝料100万円を支払えとの判示がなされています。
はい。
○ ヘッドハンティングにおける内定取消が違法として慰謝料を認めた裁判例としては、インフォミックス事件(東京地判平成9年10月31日)。
○ ヘッドハンティングによりマネージャー職にスカウトされた内定者が、採用内定期間において、以前勤めていた会社に退職届を提出したところ、会社からの経営悪化等を理由とした職種変更等の申入れに対して、職種を変更するならば試用期間を放棄するよう申し入れたこと等をもって、採用内定を取り消すことは、解約留保権の趣旨、目的に照らしても、客観的に合理的なものとはいえず、社会通念上相当と是認することはできないとされた事件です。
○ インフォミックス事件では、「採用内定者は、現実には就労していないものの、当該労働契約に拘束され、他に就職することができない地位に置かれているのであるから、企業が経営の悪化等を理由に留保解約権の行使(採用内定取消)をする場合には、いわゆる整理解雇の有効性の判断に関する(1)人員削減の必要性、(2)人員削減の手段として整理解雇することの必要性、(3)被解雇者選定の合理性、(4)手続の妥当性という4要素を総合考慮のうえ、解約留保権の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と是認することができるかどうかを判断すべきである。」と判示しました。
○ その上で、採用内定に至る経緯や採用内定者が抱いていた期待、入社の辞退勧告などがなされた時期が入社日のわずか2週間前であって、しかも採用内定者は既に会社に対して退職届を提出して、もはや後戻りできない状況にあったこと、採用内定者が同月24日、Bに対し、内容証明郵便を出すなどの言動を行ったのは、本件採用内定の取消を含めた自らの法的地位を守るためのものであると推認することができるから、会社の職種変更命令に対する採用内定者の一連の言動、申し入れを捉えて本件内定取消をすることは、採用内定者に著しく過酷な結果を強いるものであり、解約留保権の趣旨、目的に照らしても、客観的に合理的なものとはいえず、社会通念上相当と是認することはできないというべきであると判断しました。
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