○ 法律上、退職理由証明書の発行は、会社の義務です。会社に対して「解雇通知書」や「解雇理由証明書」等の書面での発行が義務であると主張し求めましょう。
○ 会社が応じない場合には、弁護士を通して、書面発行を要求することが有効です。
○ なお、労働基準法22条1項では、退職時等の証明として、「労働者が、退職の場合において、試用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。」と定めております。
○ 直ちに解雇できるわけではありません。
○ 前提として、企業の円滑な業務の遂行のためには、各労働者は他の者と協調して業務遂行する必要があります。もし、ある労働者が協調して業務をこなさないのであれば、それは円滑な業務を遂行する義務を履行しないという意味で労働者の労務提供に債務不履行があることになります。したがって、協調性欠如は、解雇事由になる可能性はあるといえます。
○ もっとも、協調性の欠如があれば、直ちに解雇できるというわけではありません。
○ 例えば、ゴールドマンサックスジャパンリミテッド事件(東京地判平成10年12月25日)では、試用期間、観察期間を設けて改善の機会を与え、配置転換までしたにもかかわらず、それでも改善しないために解雇したところ、この解雇は解雇権の濫用とはあたらない、と会社側の言い分を認めています。単に、協調性不足というだけでは解雇を認めておりません。
○ 事案に応じて結論が異なりますので、弁護士の無料法律相談をご利用下さい。
○ 直ちに解雇できるわけではありません。
○ 単に、勤務態度不良といった事実があるだけでは解雇が有効となるわけではありません。指導や教育、配転などの機会を設けて、会社として解雇を回避する努力を行ったにもかかわらず、なお本人の能力が向上せず、態度が改まらず、改善されないといった場合に初めて、解雇の合理的な理由となります。
○ もっとも、再三、注意したにもかかわらず、労働者がいっこうに態度を改めず、業績は悪化し、上司の指示に従わない。こういった勤務態度不良は、解雇事由に当たり得るでしょう。
【解雇を認めなかった判例】
○ 解雇事由にあたらないとした判例を紹介します。
グレイスワールドワイド事件(東京地判平成15年8月5日)は、1日あたり2通程度、私用でメールの送受信を行ったことにより解雇された社員の普通解雇が無効とされたケースです。「就業規則等に特段の定めがない限り」、「社会通念上相当と認められる限度で」私用メールの送受信は職務専念義務に違反するものではないとの判断でした。
【解雇を認めた判例】
○ 逆に、解雇事由ありとした判例を紹介します。
K工業技術専門学校<私用メール>事件(福岡高判平成17年9月14日)では、従業員が出会い系サイトに登録の上、大量にメールのやりとりをしていました。さらに発信元が確認できるアドレスを用いていたため会社のイメージを損ねました。対外的イメージの悪化、長時間のメールでの業務の停滞等を考え合わせて懲戒解雇は相当で、解雇権の濫用ではないという判決でした。
○ 裁判所は解雇の合理性や相当性を具体的な事例を考え併せて判断しています。
○ 事案に応じて結論が異なりますので、弁護士の無料法律相談をご利用下さい。
○ 直ちに解雇できるわけではありません。
○ 単に職務遂行能力の欠如といった事実があるだけでは解雇が有効となるわけではありません。指導や教育、配転などの機会を設けて、会社として解雇を回避する努力を行ったにもかかわらず、なお本人の能力が向上せず、態度が改まらず、改善されないといった場合に初めて、解雇の合理的な理由となります。
○ スキルの低い人を解雇するには客観的データの存在の有無がポイントとなります。裁判では「彼は他の人に比べてこれだけスキルが低い」ということを立証しなければいけないからです。
○ 一般採用として採用された新卒者に対してロースキルを理由として解雇するのは困難です。まず会社側がスキルアップの期間や機会を設け、努力をし、それにもかかわらず向上しないとなってはじめて解雇の可能性が出てくるのです。
○ 一方、部長職等の地位を特定して採用した者が、要求される能力ないし業務適格性を有しない場合には、配置転換等をせずに解雇することは可能になる場合があります。
○ 職種を特定して専門職として採用した者が、当該職種・職務を十分にこなし得ない場合には、解雇可能であるが、具体的事情によっては、配置転換を考える必要があります。
○ なお、スキルが低いと言っても判例は、絶対評価としてスキルが低いことを求めているものが多いです。例えば、セガエンタープライゼス事件(東京地判平成11年10月15日)では、「(当該従業員の)人事考課は、相対評価であって、絶対評価ではない」ことを重視しています。この判例が指摘するのは絶対評価で、他の社員と比較してのレベル云々ではないのです。
【解雇を認めた判例】
○ 三井リース事件(東京地判平成6年11月10日)では、会社側は十分に配慮し、教育の機会を与え、配置転換にも応じているにもかかわらず、能力の向上が認められなかった事案で、解雇を相当と認めています。
○ 事案に応じて結論が異なりますので、弁護士の無料法律相談をご利用下さい。
原則、解雇事由にあたりません。
○ 業務上の負傷、もしくは疾病の療養のために休んだ場合、それを理由に解雇することは原則できません。
○ 労働基準法第19条第1項では「業務上の負傷または疾病の療養のための休業期間およびその後の30日間は解雇してはならない」と定めています。
○ もっとも、療養開始後3年を経過しても傷病が治癒しない場合には、平均賃金の1200日分の打切補償を支払うことで、解雇は可能になります。
○ 労働基準法第81条第では「第75条の規定によって補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。」と定めています。
○ また、 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能になった場合」、業務上負傷や病気となった労働者を解雇することが可能です。もっとも、労働基準監督署の認定が必要となります(労基法19条2項)。
○ 事案に応じて結論が異なりますので、弁護士の無料法律相談をご利用下さい。
いいえ。
○ 職場における不倫関係は、私生活上の行為ですから、原則として解雇の対象にはなりません。
○ もっとも、「会社の社会的評価に重大な悪影響を与える」場合には、企業秩序違反として解雇の対象となることもあり得ます。
○ 裁判例では、会社の女子社員が妻子ある他の男子社員と男女関係を含む恋愛関係となったため、退職するよう伝えたが、プライベートなことであるとして、これを拒否されたため解雇した事案について、「職場の風紀・秩序を乱したとは、・・・会社の企業運営に具体的な影響を与えるものに限ると解すべき」であるとし、本件においては、企業運営に具体的な影響を与えたと認めるに足りないとして解雇を無効としたものがあります(旭川地判平成1.12.27)。
○ 事案に応じて結論が異なりますので、弁護士の無料法律相談をご利用下さい。
はい。懲戒解雇の可能性はあります。
○ 会社が経歴の申告を求めた場合、労働者は真実の申告をする信義上の義務があると考えられています。この点について、「使用者が、雇用関係の締結に先立ち、雇用しようとする労働者に対し、・・・当該企業あるいは職場への適応性、貢献意欲、企業の信用保持等企業秩序の維持に関係する事項についても必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合には、労働者は、信義則上、真実を告知すべき義務を負うとういうべきである。」(炭研精工事件:東京高判平成3年2月20日)と説示する裁判例があり、最高裁もこの判断を支持しています(最判平成3年9月19日)。
○ 労働者がこの義務に違反して経歴を偽り、経歴からすると採用されるはずがなかったのに、経歴詐称によって採用された場合には、人事配置など労務管理を混乱させた重大な秩序違反として、懲戒解雇の対象となります。
○ 多くの会社は就業規則に「経歴詐称は懲戒解雇の対象とする」という旨の規定があるはずですし、判例でも解雇は有効とされるケースが大半です。採用の条件が学歴不問だったり、真面目に働いているので解雇は認められないといった例外もありますが、一般的には解雇を言い渡されても文句は言えない立場にあります。
いいえ
○ 試用期間の延長は、就業規則などで延長の可能性及びその事由、期間などが明記されていない限り、試用期間中の労働者を害することとなるので、試用期間の延長は法的効力がないとするのが裁判例です(大阪読売新聞社事件:大阪高判昭和45年7月10日)。
○ 2ヶ月の「見習社員」のうちに「試用社員登用試験」に合格した場合に、さらに6ヶ月ないし1年3ヶ月の「試用社員」期間中に「社員登用試験」に合格しないと解雇されるという扱いに基づいて解雇された試用社員について、「見習社員」期間は実質的には「試用期間」に該当し、さらに「試用期間」を付与することは公序良俗に違反するとした判例があります(ブラザー工業事件:名古屋地血昭和59年3月23日)。
○ 実際には、下記の理由が必要となります。
○ 2ヶ月間の試用期間中の従業員が本採用を拒否された事案で、裁判所が本採用拒否を正当なものと判断した裁判例として、日本コンクリート事件(津地決昭和46年5月11日)があります。この従業員の試用期間中の出勤率は8割を超えていましたが、無断欠勤を1日含む早退・欠勤もありました。これが正社員の場合であれば、出勤率が8割を超えているために、出勤率不足を理由とした解雇は困難になると考えられます。
はい。
○ 労働者が、解雇期間中に他の会社で働いて得た給料がある場合、使用者(会社側)は、解雇期間中の賃金を支払うに際して、労働者が解雇期間中に受け取っていた一部を控除することができます(民法536条2項)。
○ もっとも、労働基準法では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」と定めております(労働基準法26条)。
○ 解雇も、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」にあたりますので、使用者(会社側)は、その労働者の平均賃金の60%を超えて、控除することは許されません。
○ 結論としては、使用者(会社側)が控除できるのは、平均賃金の4割までです。
○ 労働基準法第20条は「使用者は労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に解雇予告をしなければならない。解雇予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。」と定めています。
○ もし解雇予告をしないで即時に解雇しようとするならば、解雇と同時に平均賃金の30日以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。また、解雇しようとする日まで30日以上の余裕がない場合は、解雇予告をした上で30日に不足する日数分の解雇予告手当を支払わなければいけません。この平均賃金は最後の給与日からさかのぼって3ヶ月分の賃金総額を総日数で割ったもので算出します。
○ 解雇権濫用の法理とは、使用者(会社側)による労働者の解雇は、合理的理由を欠き、社会通念上相当性を欠く場合には解雇権の濫用として許されないとする法理論を言います。
○ 労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められております(労働契約法16条)。
○ 最高裁の判例でも「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるというべきである。」(高知放送事件:最判昭和52年1月31日)として、使用者の行った普通解雇をその解雇が過酷ではないかどうかをあらゆる事情を考慮して無効と判断しています。
○ 会社が労働者を解雇することに「合理性」と「相当性」が認められないときは、解雇権を濫用したものとして解雇が無効となります。
○ 過去の判例においては、「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になる」と判示したものがあります。
○ ラジオ番組のアナウンサーが寝坊し、ニュースを流せなかったという放送事故を2度にわたって起こした高知放送事件(最判昭和52年1月31日)において、裁判所は、このような事故を起こしたのは過失行為であって、アナウンサーの悪意、故意ではないこと、アナウンサーを起こすために存在した担当者も寝坊し、放送局も何も措置を講じなかったこと、さらに当該アナウンサーは過去に放送事故を起こしたことがなく、平素の勤務成績も悪くはなかったことなどを考慮し、解雇に「合理性」と「相当性」がないと判断し、解雇権を濫用したものとして無効としました。
○ どのような場合に「合理性」と「相当性」が認められるかは、ケースバイケースで判断するしかなく、事案ごとの判断となります。
○ 事案に応じて結論が異なりますので、弁護士の無料法律相談をご利用下さい。
○ ・普通解雇の妥当性を判断する基準として、まず、解雇理由が客観的に見て合理性があるかを確認します。これを合理的限定解釈といいます。
具体的には、
という点を審査します。
○ 次に、社会的相当性があるかを確認します。
具体的には、
という点を審査します。
○ 解雇権が有効か無効かは事案に応じてケースバイケースで判断されます。
○ 懲戒解雇をするには次の要件を満たす必要があります。
○ 懲戒事由の既定の存在とは、
(ⅰ)就業規則等で明示され、(ⅱ)就業規則が労働者に告知され、(ⅲ)その規定の内容が合理的であることをいいます。
○ 従業員が10人以上いる会社は就業規則を設けなければいけませんが、就業規則には必ず懲戒事由を設けなければいけません。その上で、就業規則が労働者にしっかり伝わっていなければいけません。
○ フジ興産事件(最判平成15年10月10日)の判決では、労働代表者の同意を取って労基署へ届け出ただけで、労働者への周知手続をしていなかった事案で、「就業規則が法的規範として性質を有するものとして拘束力を生ずるためには、その内容の適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する」としています。
○ すなわち、就業規則に懲戒事由が書かれていても、それを労働者に周知していないと、裁判で争った場合、懲戒処分が認められない可能性が高くなります。
○ 整理解雇については裁判所が次のような基準を示しています。
○ 以上4つの要素をすべて満たさないと解雇はできないとした判例が東洋酸素事件(東京高判昭和54年10月29日)です。この判例は、現在でも柱となっております。
○ ただ、この判例はバブル崩壊前のものです。バブルが崩壊し、終身雇用が崩れた今、企業は人員を切るべきか切らないべきかの選択を迫られるようになってきました。そのため、裁判所は解雇の必要性について立ち入った判断ができなくなってきています。
そこで、現在は、必ずしも4つの要件すべてを要求するのではなく、プラスの要素も含めて総合的に判断しようという方向に変わりつつあります。4つの要件の中でひとつでも強いものがあればそちらをより重視していこうという考え方です。
○ ナショナル・ウェストミンスター銀行事件(東京地判平成12年1月21日)の判例では経営判断をまず尊重しようとする姿勢が見られます。続いて「解雇権濫用の判断は、本来事案ごとの個別具体的な事情を総合考慮して行うほかないものである」としています。バブル崩壊前とは大きく変わった判断と言えるでしょう。
○ 1.客観的に人員整理を行う業務上の必要性があればあるほど、その他の要件、つまり2.3.4.の要件に対して求められる強度は弱まります。逆に経営上の必要性が薄ければ薄いほど、他の要件は強くなってきます。
事務所関連 労働弁護士110番トップ アクセス 弁護士紹介 事務所イメージ 弁護士に頼むメリット サイトマップ&リンク集 お問い合わせ なぜ当事務所が選ばれるか マスコミ出演 |
労働弁護士110番 弁護士費用110番 労働問題110番 不当解雇110番 残業代請求110番 退職勧奨110番 外資系リストラ110番 セクハラ110番 パワハラ110番 |
マタハラ110番 過労・うつ病110番 内定取消110番 雇い止め110番 未払賃金110番 就業規則110番 労働判例110番 |
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-6-5 SK青山ビル8F TEL : 03(3463)5551 |