いいえ
○ ストック・オプションとは、会社が、労働者に対し、株式の交付を受ける権利(新株予約権)を付与し、労働者が会社に対し新株予約権を行使したときに会社から株式の交付を受ける権利です(会社法2条21号)。
○ たとえば、従業員は会社から付与されたストック・オプションについて、市場での株価が権利行使価格(1000円)より上がった場合(1500円)、新株予約権を行使して株式を購入し、これを売却すれば、その差額(500円)を利益として取得できます。
○ ストック・オプションについて、行政解釈は「権利付与を受けた労働者が権利行使を行うか否か、また、権利行使するとした場合において、その時期や株式売却時期をいつにするかを労働者が決定するものとしていることから、この制度から得られる利益は、それが発生する時期及び額とともに、労働者の判断に委ねられているため、労働の対象ではなく、労働基準法11条の賃金には当たらないものである」としています。
○ したがって、賃金の支払いにかえてストック・オプションを付与し、賃金の減額をすることはできません(労働基準法24条1項違反となります)。
あります
○ 通貨払いの原則の例外として、法令や労働協約に定めがある場合は通貨以外のもので支払うことができます。例えば、通勤手当の代わりに通勤定期券を現物支給することは労働協約に定めておくことにより認められます。労働協約は使用者又はその団体と労働組合との間の協定ですので、労働組合員以外は認められません。
○ また、労働者の同意を得た場合は、労働者が指定した金融機関の預貯金口座の振込みにより支払うことが認められます。会社が口座を指定することは本来認められないのです。しかし、実際は、振込手数料の節約などで会社側の指定で口座を開設することが多いようです。あくまでも通貨直接払いが原則ですので、希望すれば手渡しで支払いするように会社側に申し入れることも可能です。
いいえ
○ 使用者が労働者に対して債務不履行を理由として、損害賠償請求権を持っていたり、労働者の不法行為に対して損害賠償請求権をもっていた場合に、賃金債権とそれらの債権を相殺することが、全額払いの原則に違反するものとして禁止されるのでしょうか。
○ この点について、最高裁は、使用者が持っている労働者の業務の懈怠を理由とする損害賠償請求権と、労働者の賃金債権を相殺することについて、全額払いの原則は相殺禁止の趣旨をも含むから許されないと判示しています(関西精機賃金請求事件:最判昭和31年11月2日)。
○ 同様に、労働者の不法行為を理由とする損害賠償請求権と賃金債権を相殺することも許されないと判示しています(日本勧業経済会事件:最判昭和36年5月31日)。
いいえ
○ 最高裁の判例によれば、「体調不良で十分な仕事が出来ない場合に、職種や職務内容が特定されていない労働者については、現に就業を命じられた特定の業務について完全な労務の提供ができなくとも、『その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置、異動の実状及び難易に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務』について労務提供ができ、かつ、その提供を申し出ているならば、債務の本旨に従った履行の提供と解される」と判示しています(最判平成10年4月9日)。
○ 実際には、出社しても十分な仕事ができない場合には、仕事の遂行のレベルにより具体的に債務の本旨に従っているか否かを判断することになるでしょう。
はい
○ 労働者の賃金を減額することは、重要な労働条件の不利益変更となります。したがって、労働条件の不利益変更には(1)労働協約による場合、(2)就業規則の変更、(3)労働者との個別の合意のいずれかが必要となります。
(1)労働協約による場合○ 労働条件を不利益に変更する労働協約が「特定又は一部の組合員をことさら不利益に取り扱うことを目的として締結されたなど労働組合の目的を逸脱」して締結されていなことが必要となります。労働組合の目的を逸脱して締結された場合には、労働協約の効力が否定されます(最判平成9年3月27日)。
○ なお、労働協約は組合員についてのみ効力を有し、それ以外の労働者には効力が及びません。
(2)就業規則の変更○ 判例によれば、賃金等の重要な労働条件の不利益変更については、「高度の合理性」に基づいた「合理的内容」であることが必要とされています(就業規則の不利益変更法理 最判平成9年2月28日)。
○ 現実的には、賃金減額の高度の合理性が認められるのは、極めて例外的な場合に限られます。
(3)個別の合意○ 賃金減額の労働条件の合意は、明示だけでなく黙示の合意も含みますが、黙示の合意があったか否か、問題になることが多いです。
○ 黙示の合意があったか否かは、個別具体例における判断となります。
○ 黙示の合意を肯定した裁判例として、店長の給与が等級基準表に基づき決定されていたところ、等級基準表が月額合計で5万円減額されたケースについて、「等級基準表の改訂の内容については、少なくとも、原告はこれを容易に知ることができたことが窺われ、原告を含め、被告の従業員が特段の異議を申し述べた形跡もなく、等級基準表の改訂は同意されたと同視することができる」と判示し、基本給の減額を有効としたものがあります(大阪地判平成19年10月25日)。
○ 一方、使用者からの賃金減額提案に対し、「考えさせて頂きます」と答えただけ(東京地判平成7年3月29日)、肯定も否定もしなかった(大阪地判平成9年11月4日)というような場合には、黙示の承諾があったと判断していません。
いいえ
○ ノーワーク・ノーペイの原則により賃金カットできる金額は45分間分のみです。
○ さらに賃金カットをする場合は、減給処分となります。減給処分として賃金カットをする場合には、まず就業規則中に制裁の章等を設け、遅刻した場合には懲戒処分として減給となることを定める必要があります。
○ しかしながら、減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、かつ総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはなりません(労働基準法91条)。
○ したがって、15分の遅刻3回につき欠勤1回として賃金カットする取り扱いはできません。
事務所関連 労働弁護士110番トップ アクセス 弁護士紹介 事務所イメージ 弁護士に頼むメリット サイトマップ&リンク集 お問い合わせ なぜ当事務所が選ばれるか マスコミ出演 |
労働弁護士110番 弁護士費用110番 労働問題110番 不当解雇110番 残業代請求110番 退職勧奨110番 外資系リストラ110番 セクハラ110番 パワハラ110番 |
マタハラ110番 過労・うつ病110番 内定取消110番 雇い止め110番 未払賃金110番 就業規則110番 労働判例110番 |
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-6-5 SK青山ビル8F TEL : 03(3463)5551 |